パブーの運営を引き継いだ理由

デザインエッグ株式会社  株式会社トゥ・ディファクトより、 「Puboo(パブー)」事業譲受合意 ~9月30日より紙の本の出版機能開発へ~

僕たちが「電子書籍の凄いサービスを作る!」と息巻いて起業した2010年5月のことでした。彗星のごとく現れて電子書籍業界のすべてを持っていったサービスがありました。それが「パブー」です。

デザインエッグ10期目の年に、あの憧れの「パブー」を迎え入れられるなんて夢のようです!今回は、起業直後の僕たちがパブー登場で味わった悔しい悔しい体験と、パブーを今後どの様に成長させようとしているかについてお話しします。

パブーの登場に泣いた、起業1年目

2010年3月、初代iPadが発表されました。

真夜中にスティーブ・ジョブズのプレゼンを観て「電子書籍の時代がくる!」と直感、興奮しすぎて寝ることができませんでした。次の日、デザインエッグの現エンジニアである安井君に電話をかけて「電子書籍の出版サービスつくろう!」と持ちかけました。

すぐさま「電子書籍リーダー」の開発にとりかかり、同年5月7日には会社を登記。最初のサービスである電子書籍リーダーアプリがあらかた形になってきたその時です。

「パブー」という電子書籍を出版できるサービスが僕たちの起業からわずか1ヶ月半後に登場しました。当時ペパボの社長を務めていた家入一真さんが率いるサービスで、電子書籍関連のニュースを全てかっさらっていきました。

ユーザーもこのサービスに熱狂。一方でデザインエッグの「電子書籍サービス」のお客様はわずか5人・・・。共に戦うステージに上がることもできず、多くの人に知られることもなく消えていきました。

しかも、僕らは「世界初のみに挑戦する!」を掲げて会社を立ち上げたので、世界初だと思って情熱を注いで開発していたサービスが、起業わずか1ヶ月半後に二番煎じになってしまった悔しさといったら・・・今でも泣けてきます。

当時、会社員だった僕は新聞でパブーリリースを知ったのですが、その日は仕事が全く手に付きませんでした。エディタとストアだけのパブーを見て「アプローチは異なるけど、同じ電子書籍という山を異なるルートで登っているだけだから、電子書籍市場を共に盛り上げていける仲間だ」と強がりを言っていたのを覚えています。

電子書籍とは真逆の「紙の本」で生き残る

起業1ヶ月半で一生分の挫折を味わった僕らはそれから4年間、地を這うような苦悩を味わいました。立ち上げたサービスがどれも鳴かず飛ばずだったのです。それでも諦めずに出版サービスを模索したことが今に繋がりました。

多くの電子書籍で出版されている著者さんにインタビューを行ったところ「本当は紙の本を出したいけれども、紙は出版費用や在庫リスクが高すぎるからせめて電子書籍でも…」という消極的選択で出版をしていたことを知りました。

そこで僕らは2013年に1冊から本を印刷・発送することができて、たったの4,980円で紙の本が出版できるサービス「MyISBN」を開発しました。このサービスは順調に成長しはじめます。

2014年には、株式会社KDDIの運営するベンチャー育成プログラム「KDDI∞Labo」にも参加させていただき、第7期生として多くのサポート企業の支援をいただきながら、0円で紙の本が出版できる「ムゲンブックス」を開発。こちらもユーザーを伸ばし始めました。

電子書籍の失敗から学び、「紙の本の出版サービス」でデザインエッグは生き残ったのです。

パブー終了のお知らせに飛び上がる!

デザインエッグの10期目が始まった2019年4月。なんと「パブー終了のお知らせ」が僕の目に飛び込んできました。そろそろ新たなチャレンジをしたいなあ!と漠然と考えていた矢先のことでした。

銀河の彼方まで進んで行ったと思っていたパブーが存続の危機にあったことはとてもショックなニュースでした。

ニュースを見た10分後には、KDDI∞Laboでお世話になった大日本印刷(現パブーの親会社)の方に連絡し、「パブーを残したい!」懸命にうったえていました。それから5ヶ月間、大日本印刷や株式会社トゥ・ディファクトの方とパブーの今後について話し合い、当社がパブーを引き受けることで、パブーを存続させることができました。

9年間動き続けたパブーはシステムとして古い部分もあり、大きなリニューアルが必要です。未だスマートフォンからの執筆はできませんし、縦書きの本も作れません。

しかし、起業直後の自分たちをあっという間に抜き去ったパブーというサービスを、自分たちの手で更に成長させることができるとすればこんなに嬉しいことはありません。

とはいえ、パブーは今でも僕らにとっては巨大なサービスです。サービスの維持費、システムの改修コストは「MyISBN」などの比ではなく根性を据えて取り組む必要があります。だからこそ10期目のチャレンジとして大きな意味を持ちます。

パブーを僕たちはどう成長させるのか

2019年9月30日からパブーのすべての管理はデザインエッグ株式会社が行います。迅速にフルリニューアルを行い、電子だけでなく紙の本も出版できるサービスとしてリリースします。

「MyISBN」や「ムゲンブックス」の知名度はまだまだ低く、紙の本が簡単に出せることを世の中の多くの人は知りません。パブーという有名サービスに紙の本の出版機能をつけることで「本を誰でも簡単に出版できるようにしたい!」という創業時からの想いが、世の中の常識として認知されるようになる大きなチャンスだと考えています。

2020年はパブー10周年の年。このタイミングで僕たちの会社に来てくれたことは奇跡です。KDDI∞Laboなど、これまでにご縁をいただいた方々のおかげです。このギフトを最大限に活かし、出版業界の一助となります。

最後に。ご利用いただいてきたパブーのすべての著者様にとって素晴らしいサービスになるように、著者様にもご協力いただきながら進めていきたいと思います。
電子書籍の出版や紙の本の出版を目指している方は、新生パブーにご期待ください!

リニューアルに際し、機能などの要望は #パブーリニューアル でお願いします。

当初起業後15日後にパブーが登場と記載しておりましたが、1ヶ月と15日の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

当時スキャンした記事に記載されていた日付を元に記事を作成しましたが、改めて調べましたところ1ヶ月日付がずれておりました。

当時の自分、どんだけ動揺してんねん…

まぁそりゃあ動揺するよなぁ…

「仕事が手につきませんでした」とか言ってるけど、日付間違えてるとか「心ここに在らず」感がリアルすぎる。

どんまい。

この記事を書いた人