Kampa!をリニューアルしました

Kampa!は手数料無料の送金サービスです。2012年のリリース当初は世界初の試みとして多数のメディアに取り上げていただいた思い入れのあるサービスです。

そんなKampa!をこの度リニューアルしました。

Kampa!はデザインエッグが駆け出しだった頃にリリースしたサービスです。Web界隈で話題にしてもらえたことで、沢山の方との出会う事ができました。

サービスのクローズを考えたこともありましたが、我々にとって思い出のあるサービスであることや、ユーザーさんに使っていただいていることから決断ができずにおりました。

リニューアルには大きな経営リソースの投入が必要です。詳しくは後述しますが売上ゼロのサービスに手をかけるのは、経営者として良い判断ではありません。

しかし「好きなサービスを作ることで生きていきたい!」と起業した自分が、「経営リソースの選択と集中」を理由に想い入れのあるサービスを閉じることは起業の原点を失うことと同義でした。

そんな私達にKampa!リニューアルのきっかけをくれたのは親友でした。その経緯に少しだけお付き合いください。

大親友に結婚祝いを贈りたい!

リニューアルのきっかけは、古くからの大親友であるエンジニアの「いのっち」が結婚することになったことです。皆で素敵なプレゼントを送ろうと相談していた時に、集金手段として注目されたのがKampa!でした。

実はKampa!は、11年前に想定していた使い方の一つに「友人へのプレゼントのために金を集めるため」があります。そんなKampa!が親友のお祝いのために使ってもらえることは、とても嬉しいことでした。

しかし、11年間更新していないサービスは、デザインや動きの面で快適に使えるとは言えない状態でした。そこで、この機会に皆様に心地よく使っていただけるものに刷新することに決めました。

Kampa!が救ってくたデザインエッグの危機

2012年、デザインエッグのウェブサービスの売上は0万円でした。最初にリリースした電子書籍のサービスはユーザーを集められず、これからどうしていいか途方に暮れていた時に、Kampa!が我々をすくい上げてくれました。

というのも、Kampa!を出したところ、多くのメディアに取り上げていただくことができ、Web業界で話題にしてもらうことができたのです。

初めてWebメディアに載せてくれたのは増田(maskin)真樹さんによるTechWaveの記事でした。偶然にも私の誕生日だったこともあり、その嬉しさは今も忘れません。これが火種となり、Misoca創業者の豊吉さんに記事にしていただいたり、新聞やテレビでも取り上げていただきました。当時の私には大きな自信になりました。

偶然、弊社オフィスのあるコワーキングスペースに来られたCoral Capitalの澤山さんが「Kampa!知ってますよ!」って言ってくれたことも嬉しかったです。

このようにKampa!を通じてWEB界隈で有名な皆様と出会うことができました。その後も自然災害など、寄付が必要なシーンでKampa!をご利用いただくこともできました。

「自分たちが作ったサービスを使ってもらえる嬉しさ」を感じることができた最初の出来事でした。

マネタイズの崩壊

Kampa!は手数料無料でAmazonギフト券を送るサービスであり、デザインエッグも売上を上げることができる仕組みでした。(詳しくは豊吉さんのブログを参照ください)

しかし、ある日サービスに激震が走ります。

Kampa!にアダルトグッズを登録した人がいたためにgoogleに広告掲載を強制的に停止され、また他の理由でAmazonアカウントも止められてしまいまいました。サーバー代すら捻出できなくなったのです。

Kampa!を善意の贈り物のために利用してほしいのに、公序良俗に反する利用方法をされる方がいたために、私達がGoogleに警告される事態になったのは悲しいことでした。

カンパ額の100%も、紹介手数料の4%も受け取れる

以前のKampa!は「Kampa!された金額の4%」を弊社がAmazonアソシエイトから受け取る仕組みでした。しかし「Kampa!のユーザーインターフェースで商品のリンク先がAmazonであることを明示していない」ことがネックとなりAmazonアカウントを停止された経緯があります。ゆえにデザインエッグのAmazonアカウントは未来永劫利用できません。

そこで今回のリニューアルでは、ユーザーご自身のAmazonアソシエイトIDをKampa!に登録できるように変更しました。これにより利用者様にはKampa!で頂いた金額だけでなく、Amazonアソシエイトの紹介手数料4%も合わせて受け取っていただけるようになりました。

※Amazonアソシエイトでは、紹介ID経由で売れた金額の数%(Amazonギフト券の場合は4%)をAmazonから受け取ることができます。

「世界初のサービスのみを作る」が社是のデザインエッグが、手数料無料の送金サービスとしてKampa!を作ったのが2012年。11年が経ち、カンパ額の4%増しでカンパが届くできるという意味不明なサービスとしてリニューアルできたこを嬉しく思います。

その他、リニューアルで追加された機能

以前のKampa!は、Amazonで販売中の商品を「これがほしい!」と登録する仕様でしたが、新Kampa!ではイベントや企画に対してカンパいただけるようにするために「カスタムページ」を作成できるようにしました。例えば「イベントAのために10万円をカンパしてほしい」という企画を登録できます。

マネタイズが全て!じゃなくてもいい

10年前は、毎週のように個人や小さな法人が手掛けたWebサービスがリリースされていました。私達も朝から晩までコードを書く日々を送っていました。行く先々で若い起業家と「こんなWebサービスを作っている」と話をしたものです。

世界中の面白いWebサービスが話題になり、似たようなサービスが現れては消えていく。その中で私には苦手な言葉がありました。「マネタイズは?」です。


手数料無料の送金サービスのKampa!は多くの人にこの質問をされることになり、私は「ありません!」「Amazonのアフィリエイトで…」などと答えていたからです。聞かれるたびに「マネタイズがないサービスは運営したらあかんのか!」と感じたものです。

かなり経ってからになりますが、この質問の真意は「御社がこのサービスを運営する意味は?」という事であることを理解しましたが、当時の私は分かっていませんでした。

あれから10年以上が経ち、デザインエッグがKampa!を運営する意味は「世界初!のサービスを作るデザインエッグの名前を多くの人に知ってもらうため」と答えられるようになりました。

世の中をもっとより良い世界にしたいと思っていても、それをビジネスにするのはとても大変です。

それでも、世の中を少しでも良くしたいと思ってものづくりをしている人には、「儲からななくてもサービスを作っていいんやで!」と伝えようと思います。Kampa!はマネタイズこそありませんでしたが、私達の飛躍のきっかけになってくれたのだから。

Kampa!を通じて作りたい未来

2023年、YouTubeやポッドキャストなど、Webサービスを作っていた10年前とは違った形のものづくりで世の中を楽しくしようとしている人たちがいます。


多くはマネタイズがないにも関わらず活動を行っており、そういった方のお陰で日々多くのコンテンツを楽しめます。一部のサービスには「投げ銭」の仕組みがありますが、その機能を享受できる人はほんの僅かです。

一方で、Kampa!はプラットフォームの制限に縛られることなく誰でも使えるサービスです。

例えばYouTuberがライブで「次のDIY企画に新しいのこぎりが欲しい!」と配信を行って視聴者がリアルタイムでカンパする。コンテンツを作る人と、支える人の双方が参加しながら新たなエンターテインメントが生まれていく。そんな素敵な世の中に貢献したいです。

Kampa!をカンパで運営したい

昔「Kampa!を作ってくれてありがとう!」というカンパをもらったことがあります。私の心に残るこの嬉しかったカンパには、自分が作ったサービスの価値を認確させてくれました。


今後は、Kampa!利用者の企画成功を応援することで、自社も利用者に応援してもらえるようなプラットフォームになりたいです。(こちらでKampa!の運営のためのカンパ企画を立ち上げました)

Kampa!リニューアルにまつわる余談

Kampa!が誕生日にメディア掲載されたわけ

数年前、増田(maskin)真樹さんとお話する機会がありました。Kampa!の記事が誕生日に登場したことで最高に嬉しかったと伝えると、「誕生日に配信されるようにセットしたんだよ」とのこと。数回しかお会いしたことのない私のために粋な計らいをしてくれたmaskinさんの温かさがすごい!

また多くの方々の応援のお陰で、今の自分があることに感謝の気持でいっぱいです。本当にありがとうございます。

いのっちとKampa!の結びつき

いのっちとはKampa!がきっかけで仲良くなりました。それは10年以上前のある日の「自分のシステムの中で気に入っている関数を発表するイベント」でのことでした。

イベントで私が発表したのは「Kampa!のメールアドレスを生成する部分で使っているgetRandomString関数」です。欲しい桁数を渡せばランダムな文字列を返してくれる優れものです。

発表後、「その関数ちょっと見せてくれる?」と声をかけてきたのがいのっちでした。彼が「これと一緒かな?」と見せてくれたサイトに書いてあるものと、私の発表内容は完全一致したのです。

自分が使っていた関数はいのっちの書いたものでした。超恥ずかしかったです!いつも隣りに座っている友人のサイトをそれと知らずに訪問し、友人の作ったコードを利用しているなんて、なかなかないですよね。

この日以降、私は関数などをコピペした時はソースコード内に元サイトのURLをコメント挿入しています。

今回のリニューアルでgetRandomString関数は移行されませんでしたが、Kampa!を通じて仲良くなった友人の結婚のためにリニューアルできたことを嬉しく思います。

おめでとう!お幸せに〜!!

この記事を書いた人