プリント・オン・デマンドの書籍で定価表記ができない理由

本屋に行くとほぼすべての書籍には裏表紙側のカバーに「定価○○円」と記載されていますが、本以外の商品で定価表記されているものはほぼないかと思います。

世の中で定価表記している商品をあまり見かけない理由は、公正取引委員会が定める「独占禁止法」があるためです。
メーカーが価格を定め、小売店にそれを守るように指示することは、小売店の競争を阻害するため独占禁止法で禁止されています。

現在は二段バーコードに対応して、価格表示を行っております。

MyISBN,ムゲンブックス,パブーで出版された書籍には2段バーコードと価格が表記されます

本に定価が記載されている理由と経緯

他の製品は禁止されているのに、本だけが定価表記でき割引価格で販売されない理由として、再販売価格維持制度というものがあります。再販売価格維持制度というものは、独占禁止法で定めている定価販売を例外的に認める制度です。

再販売価格維持制度が定められた経緯としては、独占禁止法ができる前から価格の拘束が商習慣化していたことや、多様な出版物を出版・流通させるため、各サプライチェーンの収益確保のために価格拘束はやむを得ないという判断があったためです。

ただし、販売価格維持制度は特例であり、取次を通すなどの旧来の出版方法で出版されたものにしか適応されません

プリント・オン・デマンドの書籍で定価表記ができない理由

再販売価格維持制度は特例であるため、新しい仕組みなどには適応されません。
電子書籍やプリント・オン・デマンド書籍など、取次を通さずに直接書店や読者に届ける方法で販売される書籍は、販売価格維持制度の適応外であるため、定価を記載して販売すると独占禁止法によって罰せられるのです。

再販売価格維持制度は、製造方法ではなく取次を通した書籍の流通を行った際に適応される制度ですので、プリント・オン・デマンドで製造したものであっても、取次を通せば定価表記も可能です。ただし、取次と契約する口座開設費用や、取次に納本する在庫が必要です。これには100万円近くの費用がかかり、これがあるために出版にはお金がかかると言われていたのです。

出版サービスを安価に提供したいと活動しているデザインエッグとしては、再販売価格維持制度の範囲外であっても、出版業界で新しい試みを継続していきたいと考えています。

定価表記しないメリット

販売価格維持制度にもメリットとデメリットがあり、前述のように割引などができないというデメリットがありました。新しい出版サービスの場合、販売価格維持制度の適応外であるため、何円で売っても問題がありません。※今まで書店は割引することさえできませんでした。

そのため、Amazonなどでは不定期にセールなどを行うことがあり、デザインエッグの書籍はセール対象として安価に読者様に届けることができます。(値引きの原資はデザインエッグとAmazonが負担するため、著者様への印税額は変わりません)

今後の出版業界について

書籍の業界自体が長く販売価格維持制度の元におかれていたため、価格表記がない書籍には違和感があるかもしれませんが、セールなどができるようになるなどメリットも多くあります。

販売価格維持制度は、多くの人が同じものを読んでいた大量生産大量消費の時代には向いていたかもしれませんが、趣味趣向が多様化した現代では、足かせの部分も多くあります。

今後、電子書籍化が進むにつれて、書籍の販売の形も変わっていきます。
デザインエッグでは著者様の意見を取り入れながら、業界内での新しいチャレンジを常に行っていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。

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