スタートアップ・ベンチャーが生き残るために超えるべき4つの壁

「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」

ジョージ・ソロス

スタートアップ・ベンチャーが生き残るためには超えるべき多くの壁があります。

今回は、起業した会社が自社サービスを作り、生き残る為に超えるべき壁について書きたいと思います。
※上場とか組織とかその先が気になる人はこちらの本がおすすめです。→0 to 100 会社を育てる戦略地図

「自社サービスを作る!」と起業しても最初は売上はゼロです。
ゼロから売上を作り、会社やWEBサービスを成長させるには超えるべき4つの壁があります。

リリースの壁

最初の壁がサービスのリリースです。
この壁を超えるのに必要なのはエンジニアリングスキルです。

「凄いこと思いついた!」「これは世界を変える!!」と言ってもリリースできなければ意味がありません。
WEBサービスを作る方法は大きく分けると下記の3つです。

  1. 自らプログラムを覚えて自分で作る
  2. エンジニアを創業者に迎える
  3. 外注する

3はお金がかかるので、大きな予算がないかぎり1か2をおすすめします。

しかし、プログラムさえ書ければサービスが完成するわけではありません。
大体「凄いこと思いついた」状態はシステムの仕様まで落とし込めていません。
ここからシステムの仕様を固め、必要なスキルを準備してサービスを作成する必要があります。

サービス作成時の数々の難関を乗り越えてようやくサービスをリリース!!

俺は世界を変えた!次のスティーブ・ジョブズは自分だ!!

そうあなたは思うでしょう。

リリースした瞬間から、あなたは現実を呪うことになります。

※何ヶ月も「CTO募集!」って言ってる人をたまに見かけますが、そんな時間があるなら自分でプログラムを覚えて作った方が早いです。まず、仕様を固めるところから始めてみましょう。

ユーザー獲得の壁

次の壁がユーザー獲得です。
ここで必要なのはマーケティングスキルです。

サービスをリリースしたのにユーザーが集まらない。

超辛い瞬間です。
なぜこんなに凄いサービスを人々は使わないのか、理由がわかりません。

デザインエッグでは最初の電子書籍サービスがそうでした。

「凄いWEBサービスをリリースすればメディアに取り上げてもらえる」
「あのサービスがメディアに載るなら自分のサービスはもっと載るに違いない」
私もそう思っていました。

  • リリースしたことをTwitterで高らかに宣言しても誰も反応してくれない
  • 誰かにメンションを送ってもスルー

思っていた反応と違い、困惑とともに絶望が襲ってきます。
ご飯も喉を通りません。

サービスは完璧なはず…

何が悪いんだ…

そうか!この機能をつけてみよう!!

そうして機能追加に走っても結果は何も変わりません。
だた、何かをしていないと気が狂いそうになるなか、開発に没頭したいのは分かります

しかし、リリース後に必要なのはサービスを知ってもらうことです。

可能な限り多くのプレゼンイベントに応募し、プレゼンし続けてください。
プレスリリースを書いて沢山の新聞社・WEBメディアに送ってください。

この壁を超えられれば、ユーザーが少しずつ増えてきます。
ユーザーが増えれば事例も増えて、メディアPRがしやすくなります。

ネットメディアに載ったり、新聞に載って、自分の直接知らない人がサービスを使い始めてくれます。

多くの人がサービスを使ってくれる!次のマーク・ザッカーバーグは自分だ!!

そうあなたは思うでしょう。

サービス運営を継続していると、あなたは現実を呪うことになります。

マネタイズの壁

次の壁は売り上げを上げることです。
ここで必要なのはビジネススキルです。

ユーザーは増えてるのに売り上げが上がらない。

超辛い瞬間です。

デザインエッグでは「終電タイマー」がそうでした。

「シンプルかつ皆が必要な機能を手軽に使えるようにしよう」
結果、アプリを立ち上げなくてもよい、必要なときだけ通知をしてくれるタイマーアプリを作りました。
※アプリは一度立ち上げるとあとはアプリをバックグラウンドに落としても良いので、誰も広告もクリックしませんでした。

ユーザーが増えれば広告で売り上げが上がる!
私もそう思っていました。

でも、数千や数万ユーザーの広告モデルでは、数千円の売り上げしか上がらないんです。

ユーザーは増えている。しかし、運営を続けるだけの売り上げが立たない。

ここで必要なのはマネタイズモデルを複数模索する能力です。

ユーザーの動きや数字を元に仮説と検証を繰り返し、
複数のマネタイズを作る必要があります。

無料のサービスであれば、有料のカスタマーサポートを作るのも良いかもしれません。ユーザーと親和性の高い物販を始めるのも良いかもしれません。

サービスによってあらゆる方法がありますが、ここはあらゆる試行錯誤を繰り返すしかありません。
ここを超えると売り上げが上がるようになってきます。
ようやく死の恐怖からの開放です。

売り上げが上がるとじっくり考えながら戦略を練ることができるようになります。
マネタイズが回ると気持ちも幾分か楽になります。

マネタイズも回った!次のイーロン・マスクは自分だ!!

そうあなたは思うでしょう。

数ヶ月後、あなたは最後の壁にぶち当たります。

スケールの壁

次の壁はビジネスをスケールさせることです。
ここで必要なのはなにでしょうか?
特定のスキルではなく、総合的にビジネスを伸ばす必要があると考えています。

マネタイズが回ると、自社のビジネスを伸ばすための施策が必要なことに気づきます。
業種や職種にもよりますが、採用なども大きく絡んできます。

デザインエッグでは、マーケティング・広報・広告に加え、各社アライアンスによるビジネスのスケールアップを模索しています。

具体的には2〜3の壁を繰り返し超えるイメージです。
一進一退を繰り返しながら、倍々で伸ばせるようなポイントを模索し続けます。

この壁に終わりはありません。
ひたすら地道にチャレンジするのみです。

編集後記

長々と書いてきましたが、自社もようやくスケールの壁にチャレンジを始めたばかりです。

ただ、色々と経験してきたなかで、問題が大きいと思ったのは、
「経営者が問題を問題と認識していない」ことです。

起業したての頃、WEBサービスを作ればビジネスになると思っていました。
これは、2のユーザー獲得の壁があることを認識していない状態です。

起業するとしんどいことは本当に多いです。自分の人生が終わったと感じた時は一度や二度じゃありません。寝る時間以外の全ての時間を仕事に費やし、自分の能力以上に頑張っているが、結果が出ない。そんな時の友人からかけられた「頑張れよ!」の一言の重さ・辛さ。

「どう頑張ったらいいか誰か教えてくれ!」

本当に叫びたくなります。出口の見えない真っ暗なトンネルをひらすら歩き続けるような気分です。

起業は本当にしんどいです。
ただ、この壁を一つ一つ超えていく途中には、しんどいこと以上に達成感や楽しいことがたくさんあります。

  • 初めて人に凄いって言ってもらえた!
  • 初めて大勢の前でサービスのプレゼンをした!
  • 初めて新聞に載った!
  • 初めてテレビに出た!
  • 初めて入金があった!
  • 初めて売り上げが10万円を超えた!
  • 初めて社員にボーナスを出した!

こういったちょっとずつの「初めて」は全力でチャレンジしているからこそ、とても嬉しいものです。

最後に

本日、メルカリが上場しましたが、シリアルアントレプレナーが強いのは、一度地図を完成させているので、自社の位置が明確にわかることです。
クリアしたRPGゲームをもう一度やるようなもので、次に何をすべきかが分かっているのは凄く強いです。

起業を目指す方も今後ますます増えてくると思います。

その時、「直ぐ脱サラして会社を作ろう!」なんて思わないでください。
本当にしんどいです。できれば、会社員をしながらWEBサービスを作るところから始めてください。
どれくらいしんどいかは、会社を創業して5年間に起こったこと をご覧ください。

これからチャレンジする方は先人の知恵をうまく活かしながら、自らの描く未来づくりをして欲しいと思います。

この記事を書いた人