会社を創業して5年間に起こったこと

本日、デザインエッグ株式会社のロゴをリニューアルしました。
新しいロゴは「情熱の赤」以前のロゴの閃きのビックリマークの色を残した形です。

new_and_old

早いもので、起業してもう5年以上※経ちます。
※創立記念日にこのエントリーをあげようかと思ってたら、いつの間にか過ぎてしまいまして…

最近、KDDI ∞ Laboなどに参加したりメディア露出することで、「いいね」「順調だね」なんて言われることも多いのですが、
創業以来今でも、そんな風に思ったことはありません。日々、山のような問題と向き合っています。

「世界初」のみを追いかけているデザインエッグが今まで残っているのは奇跡であり、参考にはならないと思いますが、
最近は創業当初の話を聞かれることも多いので、ロゴを変更するタイミングで初代ロゴと歩んだ5年間を少し振り返ってみたいと思います。

会社員 兼 経営者

僕が会社員として社会人になったのは2009年の春、会社を登記したのは2010年の5月でした。
なぜ会社を作ったかというと、2010年1月にiPadが発表されたから。

多くの人にとってあの瞬間は新製品の発表だったかもしれません。
ですが、僕にはとても素晴らしい未来のデバイスが発表された様に感じられました。
僕は、次の日にエンジニアの友人に電話をかけました

「電子書籍のサービスを作ろう」

これが起業のきっかけです。
まだ会社員を続けていましたので、5月のGWの間に有給を入れて登記したのがデザインエッグです。(登記したのは5月7日)

そこから会社員を辞める1年後まで、会社員の仕事を11時までやって、12時半に帰って来てからSkypeで打ち合わせ。
寝るのが3時、朝5時半起きなんて日も多くありました。
(前職はメーカーだったため、8時始まりであり、通勤時間に1時間以上かかる場所だった。)

その後、色んな他のサービスが出てきたこともあり、2011年4月末で退社、サービス運営に力を入れることにしました。

デザインエッグ創業当初

2010年の夏頃に電子書籍配信サービスのiPhone / iPadアプリをリリースしたのですが、その時できていたのはリーダー機能のみで、登録などは全て管理側で手作業で行っていました。
いずれは今のKindleやKoboなどのように、誰でも作品を配信できるプラットフォームにしたかったので、入稿機能の開発が急務でした。前職の退社はこの入稿機能の開発のためです。
この時期にオープンプラットフォーム化にかじを切っているサービスはなく、多くはコンテンツを絞ったクローズドなプラットフォームでした。

といっても当時の僕はプログラムが書けず、パートナーに任せてばかり。
一人のエンジニアが開発できる量なんて知れています。
そのため、「よくわかるPHPの教科書」という本を1冊購入し、寝る時間以外はずっとプログラムを書いていました。

基礎的なことも知らない僕に辛抱強く付き合ってくれたパートナーのおかげで、
サービスを考えるときのエンジニアとの意思疎通が早くなった気がします。

2012年1月、当時日本では初めての電子書籍のオープンプラットフォームdBooksをリリース。
年越しの瞬間もチャットしながらプログラムを書いていたのはあの時が初めてです。。
最初のサービスをリリースするまでに1年と8ヶ月もかかりました。

プレスリリースをValuePressに送るも、「これはプレスリリースではない」と弾かれ続け、
結局受け付けてもらうことができませんでした。

プレスリリースの書き方一つも知らず、IT系の友人もいない状態でしたが、
ただ、良いサービスを作れば色んな人に使ってもらえると思っていました。

独立したが何をすればいいのかわからない

サービスをリリースするも誰も来てくれません。
Twitterでつぶやいたりメンションを送ったりするものの、ただただ流れていくだけです。

Twitterでコミュニケーションしてるなんて都市伝説じゃないか?
ITの人は東京にしかいないんじゃないだろうか?

このサービスはどうなるんだろう?
会社はどうなるんだろう?
自分はこの先どうなるんだろう?

毎日不安でいっぱいですが、何をすればいいのかわからない。
周りは皆「頑張れ!」と言ってくれますが、どこを頑張ったらいいかもわからない。
やるべきことがわからないという、本当につらい時期が続きました。

その後、アメリカでGumroadというサービスがリリースされたのを知り、やることもなかったのでChocoroadというサービスを作りました。開発開始は2月14日、リリースは1週間後だったと思います。

ただ、多少のオリジナリティは加えたとはいえ、他社のサービスの類似であることや大元のアイデアが自分初でないことで開発に熱が入りませんでした。
3人くらいのユーザーの皆様には申し訳ありませんでしたが、このサービスは直ぐに開発を停止しました。

「世界初」のものを作るということは、開発のモチベーションを維持するためにもとても重要であることを学びました。

そしてまた、何をすればいいかわからない日が続きます。
1日がとても感じたのもこの時期です。
やることもなく、Twitter、はてブ、Facebookしか見ない日が続きました。

日々、電子書籍のサービスに改変を加えてはしましたが、上向きの兆しは見えませんでした。

会議をする事務所もないため、大学時代の先生にお願いして、週に1回研究室を貸してもらっていました。
(デザインエッグのメンバーは同じ大学の研究室の同級生)
ある日、「新学部を作るのに非常勤の先生が足りてないから佐田くんどう?」と言ってもらいました。
これはたまたま近くにいたために声がかかったのかもしれません。
しんどい時期でも引きこもらず、外に出続けたことが良かったのかもしれません。
ちょっとでもお金が入ってくることで、サーバー代が払えなくなる不安からは開放されました。

転機

2012年のある日、いつもの様にTwitterを見ていたら、こんなツイートが流れてきました

大阪開催!!!!!!
とても嬉しかったです。
大阪にもWEBの人が居るということ。ITのイベントがあること。

僕が見た時、既に空きは1席。
夢中で応募し、なんとか50人目の参加者となりました。

2012年3月3日、聞いたことしかなかったAWSとかなんか凄そうなサーバーのデモンストレーションをしたりしてて、ただただ凄いなーと圧倒されていました。
その中でも興味深かったのが「コワーキングの今」という発表。

よく分からず聞いていましたが、なんだか「家でも事務所でもなくて色んな人が集まって作業ができるスペース」があるとのこと。
しかも同じビルの10階に。
その場で見に行かせてもらい、次の週の月曜にはビジター予約で利用させてもらいました。

その後、毎週1度だけコワーキングに行く日が続きました。
なぜ週に1度だったかというと、月額利用料が9800円、週に1度だと2000円/回 ですので、月に1800円安いのです。
たったそれだけですが、当時の状況ではとても固定費はあげられません。
結局1ヶ月近く悩んで、3月27日に来月から会員になりたいと伝えました。
(※入った日からの月額課金のため、いつ入っても変わらないとのことだったので、その場で面談をしてもらい契約)

その後、大阪本町にあるコワーキングスペース「オオサカンスペース」に毎日行く日が続くのですが、
相変わらずやることがありません。
そのかわり、毎日沢山の人とのコミュニケーションがとれるため、今までのように一日の長さを感じることがなくなりました。

ある日、俺の話を聞け2012を主催されてた増永さんが「受託ってやるの?」って声をかけてくれたのがとても印象的でした。
「自社サービスをやりたくて起業したけどうまく行ってないし、受託もしたほうがいいでしょうか?」という僕に、

「自社サービスをしたいなら、受託はしない方が良いよ」

と言われたので、その意味も理解しないまま受託はしないことにしました。
なぜ自分でもっと考えないのか?とも思いますが、結果的には選択肢を絞ることで自社サービスに注力できることになり、とてもいい決断だったと思います。

ある日、美味しいコーヒーを飲みたいから今よりも良いコーヒーメーカーを買おうという話になりました。
でも、オオサカンスペースに居る全員がコーヒーを飲むわけではありません。
欲しい人が割り勘で買う必要がありますが、集金なんて面倒です。
そんな時に、dBooksやChocoroadで決済システムを作っていたことを覚えていてくれた大崎さんが

「集金サービス作ってみる?」

と言ってくれました。
やることがなくだらだらしてる僕へのちょっとした課題程度のものだったのかもしれません。
やってみると言ってみたものの、色んな人にヒアリングの結果、

手数料がかかる送金サービスは嫌

ということ。大阪の人は皆シビアです。
当時はクレジットカード決済をWEBで行うのはPayPal位しか選択肢がない状態
半分諦めていました。

そんなある時、御堂筋の大丸の前、丁度Tiffanyの前を歩いている時に思いつきました。

「お金はモノと交換できるもの。お金以外にもモノと交換できるものは存在する」

丁度1週間後には俺の話を聞け!2012の次のイベント「俺聞け3」が開催される予定でした。
(2012年2度目の開催だったので、この回から名前が変わりました)
たまたま今までの失敗を発表しようかと、発表枠は抑えてあったので、
急遽新サービスの発表に切り替え1周間後に新サービスをリリースすることにしました。
(この時コードはまだ0行)

このサービスが多くの人にとってデザインエッグを知る最初のきっかけになったと思います。

 

ちょっと長くなったので、後編に分けることにします。

続きはこちら

この時期で忘れられないエピソードが一つ
2011年、MacBookAirが凄く欲しかったのですが2つも買う余裕はありません。
二人でAppleStoreに行き、エンジニアの分だけMacBookAirを買って帰りました。
メモリが2GBストレージは64GB。
そんなにいいスペックではありませんが、「それで十分」と言ってくれた彼は多分気を使ってくれたのでしょう。

二年後の2013年のクリスマス。
メモリ8GB、ストレージ250GBのMacBookAirをプレゼントしました。
一番嬉しかったのはプレゼントした僕だったと思います。