友人で起業家のFacebook投稿を見たところ、絵本が作りたい!と書かれていた事をきっかけに、前から「絵本作りたいんだよね〜」っという相談がちょこちょこ来ており、都度答えていたのですが一度纏めてみようと思い、備忘録的に記載してみようと思います。
・出版に対する利益はあまり考えていない
・でも、出費はなるべく抑えたい
・出版するにあたりどんな選択肢があるか知りたい
絵本って世の中に沢山目につきますけど、そんなに出版社から新しいものが出ている雰囲気がありません。(一応出版業界にいるのにざっくりですみません…誰か数字調べた方いらっしゃればください。)
なので、絵本を出したいと思った時、出版社に持ち込んで本にするのはめちゃ難易度が高いです。だからといって通常の自費出版だとおそらく最低100万円から掛かってきます。
流石にどちらも労力や金銭的なハードルが高いという事で、まずは目標とすべき地点を定める必要があります。下記の選択肢の中から、予算やスキルセットによって選ぶのが良いかと思います。
出版時の選択肢は大きく4つ
①出版社持ち込み
—-超運と実力の壁—-
②クラウドファンディング&自費出版
—-資金調達の壁—-
③自費出版(共同出版含む)
—-自己資金の壁—-
④自己出版(セルフパブリッシング)
以下、それぞれについて解説致します。
出版社もちこみ
出版社がちょうど本を出そうと思っていたタイミングにある場合や、ものすごい企画書がある場合を除いて、相当高いハードルです。
絵本作家と呼ばれる方や、沢山の方がライバルです。
また、出版業界は不景気なので、新しい作家さんの作品はリスクが高く、なかなか決裁できません。その為、「既にSNSで人気がある」「ある程度纏めて買ってくれる」など、出版リスクを下げられる+αの要素も重要かと思います。Instagramで有名な方の写真集や、Twitterで有名な可愛い絵を描いてる方の本が出版されるのはこれがあるからです。
もし持ち込みがうまくいかなくても、クラウドファンディングなどで使えるので、企画書は書いてみても良いかと思います。
TODO:企画書を書く
必要費用:出版社持ち(0円)
販 路:Amazonや書店など
クラウドファンディング&自費出版
自費出版する費用をクラウドファンディングで調達する方法です。クラウドファンディングサイトを使って必要な資金を集められる方は、この方法はとても良いと思います。
持ち込みと比べると決裁者が自分になるため、プロジェクト全体期間の把握がしやすいのもメリットです。
出版社持ち込み用につくった企画書を元に、本に共感してくれる方や本の読者を出版前に集めて、資金がある状態で本づくりができるのが強みです。
TODO:自費出版の見積もりをする
※販路がついていない(本屋やAmazon経由で売れない)ものはやめましょう。印刷会社で印刷してもらうのと変わりません。
必要費用:支援者持ち(0円)
販 路:Amazonや書店など
自費出版(共同出版など含む)
出版社に出版見積もりをとった上で、著者がお金をすべて出して出版を行います。
共同出版についてはMyISBNの解説ページをご確認ください。
これも、クラウドファンディングに関する項目で記載ているのと同じく、ISBNがついてちゃんとした販路経由で販売することを前提に見積もりましょう。販路がないものだと、家に大量の在庫が送られてきて大変なことになります。
必要費用:自分持ち(100万円〜)
販 路:Amazonや書店など
自己出版(セルフパブリッシング)
最も低コストで出版することができる方法です。自分でデータをつくって本を作ってしまいます。
ただし、現存するサービスを使う場合、本の印刷クオリティか販路のどちらかを諦める必要があります。
印刷や紙など、作品の品質を優先したい場合
この場合、絵本が印刷できる印刷会社に持ち込むのが最適です。
印刷会社に直接持ち込むので、印刷クオリティはもちろん高いです。
一方で、販路は自分で確保する必要がありますので、あまり広く販売する必要がない場合やイベント販売などの場合はこの選択肢がよいです。
必要費用:自分持ち(5万円〜冊数による)
販 路:なし
販路を優先したい場合
Amazonなどで販売したいがお金はあまりかけたくない方は、MyISBNを使うのがおすすめです。1タイトル出版するのにかかる費用は4,980円のみ。WEBサービスからPDFデータをアップロードするだけで出版ができます。
ただし、オンデマンド印刷を使って完全受注生産で本を作るため、紙や印刷機は標準品を使うので選ぶことはできません。一般的には字を中心とした本を作るために最適化されているサービスのため、厚紙・横長のTHE絵本的なものや、写真集のような綺麗な印刷品質ではありません。
しかし、PDFデータを入稿するだけで、Amazonに掲載されて出版されるため、一番手軽な方法だと思います。(ようやくここに来て自社サービスアピール)
必要費用:自分持ち(4980円)
販 路:Amazon
その他、友人の輪の中くらいで楽しみたい場合
もし、沢山印刷したいわけじゃなくて、「自分用に少しと友達に配りたい」範囲であれば、印刷会社に持ち込むと、多分1冊3000円位で印刷ができます。(もう少し高いかもしれません)
これであれば、安で高クオリティの本が作ることができますので、販路が必要ない場合は印刷会社に連絡するのが良いかと思います。
出版を志す全てのかたに知ってほしいこと
出版サービスをしていると色々な相談を受けることがありますが、明らかに望むサービスと契約したサービスが異なる場合があり、とても残念な気持ちになることがあります。
絵本に限らないのですが、自分と友人に少しほしい程度なのに100万円前後かかる自費出版(販路なし)を契約してしまって、「押し入れが本でいっぱいなのでISBNをつけて売ってくれないか」といった相談を受けたときなどはとても切ない気持ちになります。
それぞれのサービスにメリット・デメリットがあるため、自分のやりたいこと(とできること)を明確にした上で、一人でも多くの人が納得できるサービスに出会えると良いと思います。